■自然植生

ハイラインの造園植物は、もともとの植生を参考にしているという。
花が美しいものや形が彫刻的なものは、そのまま導入している。
またキク科植物は、彩りが多くて、花付きが多いものに代えて選択されている。
そしてイネ科植物。自然植生でもイネ科の印象が強いが、そのイメージを活かしたのかハイラインの造園では、多様なイネ科植物が多用されている

■ イネ科植物
ハイラインでは、多種類イネ科植物を植栽のベースとして使用している。
その結果、風による動き、光による輝きが見事に表現されている。
また穂の細かいものは、薄いカーテンのように、他の草花を引き立てる。

■ ボーダー植栽
ハイラインの造園は、植物は原種(原産地はいろいろ)をベースにしている。デザインは、自然を重視するエリアとイングリッシュガーデン的なエリアと、その中間がある。
たぶんイギリス的なのが、植物の高低差を表したボーダー植栽だ。
イングリッシュガーデンの場合は、壁から高茎、中茎、低茎植物と配植するが、ハイラインでは島状に表現するところもある。
日本では、あまり高茎植物を使わないが、在来種の中に、面白いものが結構ある。

■ 彫刻的
たしかピート・オウドルフさんの本に、彫刻的な植物に関する記述があったように思う。
花や実が、大振りだったり、ぼんぼりみたいだったり、トゲが際立っていたり。
特に彫刻的な種子殻は、冬のガーデンを楽しいものにさせてくれる。
ある研修でお世話になったニューヨーク通の方に、ニューヨークでは植物がいろいろなデザインとして流行していると聞いたが、その一例である植物写真を見ると彫刻的なものが多かった。
その目で見ると、日本でもユリ科の種子殻などに面白いものがある

■ 樹木
樹木は、トンネルや日陰などポイントに使われている。
花の草原の面積に対して、2~3割がやっとという感じ。
高木はシラカバが多い。1~4本立と立数がバラバラで、少し曲がっているのが、リズミカルだ。
木肌、花、実に特色のあるものを使っているが、斑入りとか色変わりの葉とかいわゆる「新樹種」は少なく、オーソドックだ。それが気持ちが良い。


■メンテ命
ハイラインを支えているのが、メンテナンススタッフだ。
日々の灌水、除草、樹木の剪定など、多くのスタッフが働いている。
植物の生態に詳しいスタッフが、お互いに意見交換しながら、望ましい状態を模索しているようだ。
主要デザインは世界的な園芸家ピート・オウドルフさんだが、ハイラインの植物を成長させているのは、間違いなくメンテスタッフだ。
特に繁殖力が強いイネ科植物を制御して、他の草花と共存させているのは、見事。

■ 教育
ハイラインの平日は、学校教育やボランティアによる案内が盛んだ。
英語はわからないが、アクションからたぶんハイラインの歴史、ビューポイント、ランドスケープなど。

 

■ 見えた未来ビジョン
NY最終日。ハイラインで興奮した後、引き寄せらるように、メトロポリタン美術館でこの武蔵野図屏風に会った。
月、ススキ、キキョウ、オミナエシ、ハギ、フジバカマ。それを艶やかに描く日本絵画。私たちが開発した野の花マットは、この武蔵野と琳派図をモデルにしたものだ。
これとハイラインの現代園芸をコラボさせたら、どうなるか。見えた私たちの原点と未来のビジョン。

以上、ハイラインレポートは、2015年10月にFacebookにあげたものを再掲しました。