■八ヶ岳山麓の縄文文化

建築史家&建築家の藤森昭信さんは、縄文建築団団長を務めるなど縄文文化への造詣が深いが、それは縄文文化の拠点の一つであった八ヶ岳山麓に生まれ育ったことと関係していると思います。

日本の縄文研究を牽引してきた茅野市立尖石考古博物館の収蔵品を紹介します。

国宝「縄文のビーナス」縄文時代中期 5000年前 茅野市棚畑遺跡出土

国宝「仮面の女神」縄文時代後期 4000年前 茅野市中ツ原遺跡

■諏訪大社上社(本宮)

7年に一度の御柱で有名な諏訪大社。藤森さんの処女作「神長官守矢資料館」の屋根を突き抜ける木材は、私は御柱を連想します。

■ 茅野市宮川地区

宮川地区は諏訪大社上社の北側に隣接します。生き神である大祝諏訪家の墓所や祈祷と政務トップの神長官守矢家の屋敷があったりする重要な地区です。

藤森さんはこの地区で生まれ育ち、守矢家とは親交があるそうです。藤森神社もあり、只者ではないようです。

神長官守矢家は上社五管の筆頭として、上社トップの大祓を支え、代々祈祷と政務実務を掌握しました。

原始諏訪神とされる「みさく神」を祀った社があり、クリノキ、カヤノキ、カジノキの巨木が社叢となっています。
みさく神の西側には7世紀の横穴式石室があります。
みさく神の東側には、大祝諏訪家の墓所があります。諏訪神の根源として「みさく神」が重要であったと推定されます。墓所には立派なエドヒガンザクラが花芽を膨らませていました。
みさく神の南側に、守矢家屋敷跡と史料館があります。
■神長官守矢史料館
神長官守矢史料館の竣工は1991年。
藤森照信さんの処女作です。
史実として、諏訪上社では、春先に75頭の獣の頭を積み上げて、祭礼饗宴する「御頭祭」が行われていました。
史料館の壁には、鹿とイノシシの頭が埋め込まれていて、なかなかのリアリティです。
以下、史料館パンフレットから建物の特徴を抜粋します。
入口の柱:イチイに金属祭器を打ち付けた
外壁:サワラの割板
屋根:上諏訪産鉄平石(安山岩製)
高層屋根:宮城県雄勝産天然スレート
外構のコグマザサは、この後の藤森作品にも多用されます。

 

■ 茶室3部作

藤森さんの実家の土地に建てたということです。史料館の北、至近距離です。

〇高過庵

ツリーハウス的です。世界の危険な建物10位以内にランクされているそうです。

〇低過庵

竪穴住居みたいです。屋根がスライドして、開放されます。

〇空飛ぶ茶室

あまり進んでは、上りたくありません。