クズのトンネルは、アクアマリンふくしまの入場口からクエート庭園までの園路を、竹組にクズを絡ませるというものです。田瀬さんが若いころ富士植木に勤めていた時に、上野公園で木化した太いクズがパーゴラで自立しているのを見たそうです。
田瀬さんは、クズが自立するまで、竹組を養生することが大事。
このプロジェクトは、里山再生も意味しています。いわき市大国魂神社の竹藪から切り出して、定期的に補修しようというものでした。
私はフジならともかくクズが自立するほど太くなる事例を見たことがないが、知人の大学の先生が向島百花園で見たそうです。それにしても10年やそこらでは、そうならないのではないでしょうか。
つまり何十年も、里山管理と連動させながら、竹組を補修していくというものです。田瀬さんの話は長い時間を見据えたビジョンがありました。




竹組の構造設計は、東京芸大の金田研究室。つまりしなやかな竹を使って、かつ強靭です。
竹の切り出しと施工は、田瀬さんのオフキャンパスに参加している千葉大、東京芸大金田研究室、日大大澤啓志研究室などの学生さんたちが参加しました。当時は各種の復興事業で宿泊施設が不足していて、田瀬さんと学生さんたちは東京から通いました。


仲田種苗園は全社あげて、このプロジェクトを支援しました。岡部公一工事部長は1級造園施工技士・1級造園技能士。また南会津町の「楓の芽」を主宰する大桃聖記さんに手伝ってもらいました。






















ビジョンとデザインが見事なプロジェクトでしたが、諸般の事情から竹組の補修は中断して老朽化し、現在クズのトンネルは撤去されています。