御斉所変成岩は、明確な方向性を持つ。

いわき市遠野町滝の「龍神峡」は、緑色片岩の河川露頭が見事で、観光地になっている。

海のプレートの圧力に交わるようにできた縞模様が片理で、龍神峡はその片理にそって水の浸食が見られるが、その方向はN10~20Wで北北西を示す。

いわき市遠野町皿貝地区には、良好な平面露頭が観察できる。泥質性黒色片岩と緑色片岩、それが混じりさらに石英が加わった互層となって、さらに層の中でも縞模様の片理が顕著である。

泥質性黒色片岩(西側)

泥質性黒色片岩+珪質+緑色片岩(中間)

緑色片岩

片理の方位は、3か所測定して、いずれもN6Wの北北西を示す。

この付近の山の軸方向も北北西であり、地層と地形は相関している。

また広域的に見ると、棚倉破砕帯も北北西を示し、御斉所変成岩の形成と関係があったと考えられている。

御斉所変成岩は海からのプレート圧力により波状(褶曲)となっている。褶曲の軸も圧力に交わる方向で、北北西である(石川・大槻1990)。褶曲の軸と片理の縞模様は密接な関係がありそうだ。

下の写真は、緑色片岩の褶曲の様子である。

地形も褶曲を反映して、山の斜面70°W-垂直ー70°Eの急こう配である(石川・大槻1990)

御斉所山

2011年4月11日、東日本大震災の余震によって、いわき市石住字貝屋地区に土砂崩れが発生して、女子高校生を含む3人が犠牲となった。

山は御斉所変成岩特有の急斜面で、角閃石片岩(緑色片岩がさらに変成したもの)と泥質片岩の層理面が剥離した状況を示す・

当時の福島民友新聞

 上部に残るのが、泥質片岩か