2010年は、田瀬さんや箱根植木に育ててもらった仲田種苗園の施工力が、一気に開花しました。こども体験館エッグが新築され、それに伴って「カワウソ水槽」「中庭(何があるのかな)」「エッグの森」の造園工事をほぼ同時に施工しました。
カワウソ水槽の工事は2010年2月25日~3月10日
設計監修は水族館の安田純さんと中村千穂さん、設計施工が仲田種苗園。
二ホンカワウソは80年前に消滅したとされ、北半球でそれに近い種がユーラシアカワウソ。2010年3月に、ドイツの動物園から譲り受けて、飼育展示することになりました。
成田空港から車で搬入、アクアマリンに着いた中村さんとドイツ動物園関係者の緊張した様子は今でも鮮明に覚えています。カワウソはオスで、ドナウ川にちなんで、ドナウと名付けられました。
(2021年10月、ドナウは享年13歳で亡くなりました。中村さんは樹木葬に埋葬しました)。
カワウソ飼育展示施設の造園はテラスと屋上緑化です。テラスは擬岩の中に作られた50㎡ほど。ミソハギをベースとした野の花マットを植栽して、所々に流木を置きました。






屋上緑化は植物に詳しい安田さんが、高木苗の植枡を作ってくれました。
高木のタブノキとイロハモミジ苗の間にスナゴケを貼り、鳥や風で飛散する可能性が高かったので、網をかけました。さらに仲田種苗園が独自に開発した木本の植生マット「森っ子ターフ」と乾燥に強い浜っ子ターフを網の上に置きました。チューブ式の自動潅水を使用しました。





2011年3月 東日本大震災によって、アクアマリンは高さ4mの津波が被りました。エッグも、カワウソの生命を守るのが精一杯。屋上緑化の自動潅水も津波と同時に停止しました。
しかし2年後の2013年5月13日、屋上に上がってみると、なんと植物たちは生きていました。限られた雨水で生き延びるために、植栽した時よりは、かなりコンパクトになっていたが、ヤマボウシ、イロハモミジ、ノリウツギなどの木々と浜っ子ターフ、そしてスナゴケも生きていました。とても感動しました。

