四国北部を東西に流れる吉野川は、中央構造線の断層によって形成されたものだ。

中央構造線の北側は領家変成帯、南側は三波川変成帯で共に1億数千万年前のジュラ紀。領家変成帯は白亜紀の花崗岩貫入による高熱、三波川変成帯は海洋プレートが大陸プレートに沈み込む際の低圧力によって、形成された。

徳島県神山町は、吉野川の南に併行して流れる鮎喰川流域に立地する。

鮎喰川北側には三波川変成帯、南側には広域付加体である秩父帯が分布するが、その間には付加体である御荷鉾(みかぶ)帯が断続的に分布する。御荷鉾帯は、海底火山の噴出物である玄武岩や深成岩である斑レイ岩が、海洋プレートと大陸プレートの接触箇所で複雑に堆積した付加体である。玄武岩と斑レイ岩は、塩基(アルカリ)性が強い岩石で緑色を呈する「緑色岩」である。

鮎喰川の緑色岩

緑色岩には、TiO2に富む桃色を呈する単斜輝石も一般的に見られる。

神山町の地形は傾斜が急であるために、宅地や耕地を作るために、緑色岩を使って石積みしている。

阿波国一之宮上一宮大粟(おおあわ)神社は、祭神は大宣都比売命(おおげつひめのみこと)。

「オオゲツヒメ(オホゲツヒメ、オオゲツヒメノカミ、大宜都比売、大気都比売神、大宜津比売神、大気津比売神)は、日本神話に登場する女神。 『古事記』においては、国産みにおいて伊予之二名島(四国)の中の阿波国の名前として初めて表れる。その後の神産みにおいてイザナギとイザナミの間に生まれたとの記述がある。
高天原を追放されたスサノオは、空腹を覚えてオオゲツヒメに食物を求め、オオゲツヒメはおもむろに様々な食物をスサノオに与えた。それを不審に思ったスサノオが食事の用意をするオオゲツヒメの様子を覗いてみると、オオゲツヒメは鼻や口、尻から食材を取り出し、それを調理していた。スサノオは、そんな汚い物を食べさせていたのかと怒り、オオゲツヒメを斬り殺してしまった。すると、オオゲツヒメの頭から蚕が生まれ、目から稲が生まれ、耳から粟が生まれ、鼻から小豆が生まれ、陰部から麦が生まれ、尻から大豆が生まれた」(Wikipedia).

神山はまさに神がすむところで、その中心地である神領は神の領地、古代中世の大粟神社の荘園であろうか。

大粟山からの眺望

(2枚の撮影:徳島市高橋誠さん)

「神山町を「日本一のしだれ桜並木の名所に」「未来の子どもたちに」「町を離れた人のふるさとに」「活気ある町に甦らそう」と、住民によるさくら街道づくりが行われています。
「神山しだれさくら」と名付けられたシダレサクラを神山町の住民が一本一本丁寧に植え続けています。平成9年(1997)から毎年植栽しつづけ、始めは点々と植栽され ていましたが、今ではその点が桜並木の線でつながるようになりました。平成27年度時点では約5900本もの桜が町内各地に植えられ、春には見事な花を咲かせてくれま す。国道438号線をはじめとして、県道20号線、県道21号線沿いも見事な桜並木をご覧いただけます。神山しだれさくらが創りだす美しい風景をお楽しみ ください(神山町ホームページ)」。