【わくわく・はじまりの森施工編(2)】

2025年7月に竣工した「わくわく・はじまりの森」は、2015年の「わくわく・縄文の森」を改修したものです。

■植栽

縄文の森の植栽は、コナラ・ヤマザクラなどの里山の2次林植生を反映させました。今回はそれを基盤としつつも、アクアマリンふくしまの南北を流れる夏井川や鮫川中流域の植生的特徴をより鮮明にすることを目的にしました。

〇土壌改良

ここはもともと2011年東日本大震災で発生した瓦礫を山積みにしたところです。2015年の縄文の里では、そこに土を被せて植栽したのだが、場所によっては深さ50㎝ぐらいでアスファルトなどの瓦礫となり、当然樹木の生育は阻害されました。

表層50㎝が客土、その下の黒いのはアスファルトなどの瓦礫

そこで私たちは、植栽客土として、黒土に燻炭を20%混合して使用しました。

里山の沢に堆積した黒土に燻炭を20%混合

〇ロケハン

「アクアマリンふくしまのランドスケープ(14)」で述べたように、私たちはアクアマリンふくしまの南北jを流れる鮫川お夏井川中流域の地質、地形、植生を何度も調査して、設計施工に活かしました。

下は、鮫川中流域の強滝です。宮脇昭さんが照葉樹林帯渓流植生とするイロハモミジーケヤキ群集です。川に向かって、モミジの枝が伸びて、トンネル状になるのが特徴です。

鮫川中流域 強滝 イロハモミジの自然植生
千葉大大学院演習 2023年11月9日

植栽にあたっては、水族館の吉村光太郎さんが主役となり、まさに設計施工との三位一体を実現してくれました。

仲田種苗園沢田農場で材検する吉村さん 2025年3月

〇モミジの散歩道

〇ボスケの植栽

スダジイ高さ8m 植栽用客土が大事 2025年3月
片枝気味の樹形を組み合わせて、1つの森(ボスケ)にする
霜田さんからゼミ生にレクチャー 2025年3月
2025年7月11日 オープンの日

〇野の花マット

野の花マットのミソハギベース(湿性タイプ)

■ビオトープ

仲田種苗園の佐川憲一プロジェクトマネジャーは、NPO法人日本ビオトープ協会の役員で、ビオトープ工法と環境教育に実績がある。はじまりの森でも、湧水池や流れなどで、本領を発揮してくれました。

いわき市立三和中学校で環境教育をする佐川君
はじまりの森のビオトープ

■打ち上げ

神田武志リーダー(飼育展示統括部長)の挨拶。たくさんの動物や展示の専門家の意見を集約しながら、私たち設計施工チームとコミュニケーションを重ねてくれました。お疲れさまでした。
打ち上げでは設計施工チームは大いに盛り上がりました。元請け現場代理人の式田さん(右)も肩の荷を下ろしたと会心の笑顔。途中で霜田さんも加わり、日付が変わるまで飲みました。
オープン式前夜のセレモニーは、11年前の2014年2月クエート庭園オープンセレモニーで田瀬さんと参加した会場と同じ大水槽前でした。