【わくわく・はじまりの森施工編-(1)】

施工元請けは、地元の福浜大一建設(株)、現場代理人は式田克明営業土木部長。仲田種苗園は第1次下請けとして造園工事、石積み石組み工事、粗朶柵工事、植栽工事、ビオトープ工事。下請け代理人は、佐川憲一プロジェクトマネジャー。変則的ながら、設計施工を担当しました。

はじまりの森は、基本的には2015年竣工の縄文の里の築山、滝、2つの流れと池(湿地)、園路を踏襲しました。大きな造作は、築山頂部に展望広場と、車椅子でも通行可能な勾配の園路を新設しました。霜田亮祐さんの発案デザインです。

■石積み

築山展望広場に至る園路は急こう配となるために、石積み、鮫川石の野面積(のづらつみ)としました。基礎は石川町の小針建設、石積みは互いに親子2代で盟友の南條庭石店。

水族館からの要望としては、ここにヘビなどの爬虫類の飼育展示を仕込ませたい。石積みの間からヘビが見えるイメージ。

安全上の観点から、一部擬岩を使うことになりました。

野面石積 2025年5月
箱は爬虫類展示の模型
このように宙に浮く石積みは不可能なので、真ん中は擬岩です。中にはニョロニョロが(´;ω;`)ウゥゥ
石積み(南條庭石店)と植栽チーム(仲田種苗園)の合同食事会 右は仲田種苗園の柿畑弘志技能長
石積みの間からヘビをのぞき込む見学者 2025年7月12日

ちなみに私はヘビが大嫌いで、この施設がいかに人類の平和を脅かすか、ことあるごとに力説したのだが、まったく聞き入れられず、逆に水族館の両生類担当のモチベーションを上げてしまいました。

ヘビが大嫌いな私に勝利のⅤサインをする水族館両生類担当の永山駿さん(左)、めっちゃ悔しい

■石組み

川がきの遊び場

坂本三春町長はじめ多くの人に、懐かしい風景という評価をいただきました。現代は地方でも川が汚れて、昔のような川遊びができません。それを復活させたいという水族館の願いは、7月12日以来多くの見学者によって高い評価をいただいています。

基礎の鉄筋 多人数が入るために、強度を確保するための鉄筋だが、底が平になるので、自然風石組みとの両立が大変だった。2025年5月
水族館、設計者、施工者の打ち合わせ。石組みと底の石張りの確認。水族館の神田リーダー(右から2人目) 2025年5月
底の石の密度にこだわる水族館の永山さん。日頃川をフィールドにしているので、いかに原風景に近づけるかの議論を重ねた。2025年5月
7月12日以来、多くの人が流れに親しんでいる。下流から 2025年7月12日
上流から 2025年7月12日
懐かしい風景 2025年8月26日

■粗朶柵

はじまりの森は生物多様性の基盤を整備し、人と生き物たちが触れ合う場を創出することが目的です。そこで重視したのが、土留めや人止めの粗朶柵です。焼杉丸太に柳枝を絡ませました。

粗朶柵の施工中 2025年3月

2025年3月28日29日里山園芸民泊で合宿しながら、千葉大大学院霜田亮祐准教授ゼミのインターンシップと仲田種苗園との合同ワークショップをはじまりの森施工現場で実施しました。実施にあたっては、水族館と元請けの福浜大一さんの配慮をいただきました。

水族館の吉村光太郎さんが、はじまりの森のコンセプトと粗朶柵の生物多様性としての効果をレクチャー。

実習では、粗朶柵にネコヤナギを挿し木をしました。粗朶柵は3~5年で劣化するが、ネコヤナギ並木がそれに置き換わります。ネコヤナギの背丈は最大2mぐらいで、森の景観を損ないません。

鮫川流域から、粗朶柵に挿し木をするネコヤナギの穂を採取
仲田種苗園社員が、挿し木のやり方を説明
挿し木の実習
ネコヤナギはほぼ100%活着して、狙い通りの景観となりました。2025年7月
粗朶柵の土留め
人止め
粗朶柵の人止め