東京湾の生物(葛西水族館の展示解説から)

東京湾の最奥部には、利根川支流の江戸川、荒川支流の隅田川、多摩川が流れ込みます。これらの河川が運ぶ土砂は膨大でした。本来の東京湾の地質を復元すると、河口には川によって運ばれた土砂が堆積した泥干潟がありました。遠浅の東京湾内湾の底にも砂泥が堆積していました。

光がよくあたる内湾の浅い砂泥には、海藻の1種のアマモが草原のように生えていて(アマモ場、藻場)、底には魚介類が多く生息し、縄文時代以来人々は海の恵みを享受してきました。

しかし、高度経済成長期の埋め立てによって、このような環境は破壊されました。「東京湾の漁獲量と海岸埋立の推移」というネット検索によれば、東京湾内湾の海岸線の95%は人工の垂直護岸となり、明治時代に存在した干潟面積の90%以上が失われたそうです。

tobihaze.jpgトビハゼ

泥干潟は川によって運ばれてきた泥が、河口に堆積してできたものです。トビハゼ、ゴカイ、カニの仲間などが穴を掘って暮らしています。この穴には、満潮時に酸素や新鮮な水が供給されますが、泥の中のバクテリアが酸素使って有機物を分解します。干潟は、天然の浄化槽として、海をきれいにする働きがあるそうです。

amamo-1.jpgamamo-2.jpgアマモ(海藻)・アミメハギ

海藻の1種であるアマモは、光がよくあたる内湾の浅い砂泥底に生えます。アマモが草原のように生える場所を、アマモ場といいます。隠れ場所やえさになる小動物が豊富なアマモ場は、さまざまな生き物が子供の時期に生育の場として利用する大事な環境だそうです。

iwasi.jpganago.jpgマイワシ・アナゴ

東京湾の内湾は、遠浅で底には砂泥が堆積しています。かって市民伊に親しまれたアオギスなどは水質悪化によりほぼ絶滅しましたが、現在でもマイワシ、カレイ、アナゴ、スズキ、シャコ、アサリなどが棲み、「江戸前」として貴重な海産物となっています。

漁獲量は、第二次世界大戦後に過去最大を記録しましたが、埋め立てや水質悪化によって、5分の1まで減少しました。今は少し持ち直しているそうです。

unga-2.jpgunga.jpg運河:ボラ・マハゼなど

埋立地には、運河が作られましたが、運河にも特有の生態系が形成されています。運河は以下のような環境だそうです。

淡水と海水が混じった汽水。川が運んでくる栄養分に富み、垂直なコンクリートで囲まれ、流れはゆるやかで水は交換されにくく、底はヘドロ、そして潮汐により干満がある。

運河に棲む魚貝類                                                ボラ、ヒイラギ、シモフリシマハゼ、チチブ、マハゼ、トサカギンボ、イダテンギンボ、アラムシロ、ムラサキイガイ

マハゼは東京湾名物ですが、ムラサキイガイは船底に付着して外国から持ち込まれ、繁殖しました。

さて運河に棲む魚貝類は、浜離宮庭園の池泉と共通します。もっとも浜離宮も、運河と同じような汽水ですから当然かもしれません。